ちらりと、目をやった。<br>時計の針は夕方5時過ぎを指している。<br>仕事帰りの俺は焦っていた。<br>お迎えの時間までもう少し…。閉園前に、早く…。<br>二人目ができたばかりの俺は、肩で息をしながら、長男が通う保育園の門をくぐる。<br>妻の代わりだ。<br><br>「すみませーん!遅れました!パンダ組の成上です!」<br>「あら、まだ6時前だから大丈夫ですよ。」<br><br>園長先生の声で我に返る。<br><br>「そうか、時間の間違えか…」<br>慣れないことはするもんじゃない。<br><br>もうほとんど園児のいなくなった廊下を、溜息をつきながらゆっくり歩いていたその時、見てしまった。<br>息子の担任のみつは先生が、違う保護者と抱き合っている姿を。<br>息を呑んだ。目を見張った。<br>まさか…。俺はスマホを手に取った。<br><br>押しに弱い保育士さんと、誰にもバレてはいけない秘密の関係が始まった瞬間だった。
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